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  • May 10, 2016

<シリーズ~本当に観てほしい映画~>「ブレイキング・バッド」のブライアン・クランストンがハリウッドに実在した脚本家を演じる映画「トランボ」

「トランボ」という名前だけ聞いても、正直誰のことなのかわからないというのがほとんどの日本人の感想だと思います。私もファーストコンタクトはそうでした。トランボは「ローマの休日」を生み出した脚本家だが、わけあってその当時自分の名前で脚本を売ることが出来なかった、と説明すれば、どうでしょうか。そう、あの有名な「ローマの休日」の脚本家ですよ!いわれてみると「あれ!」と興味が沸いてきますよね。

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映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」は、20世紀半ばのハリウッド黄金期、当時大変人気があったといわれているダルトン・トランボの脚本家としてのパッション、映画製作の仕事を一緒にした人たち、そして彼の家族である妻・こどもたちを描いた作品です。今作で最も注目したいのは、やはりなんといってもTVドラマ「ブレイキング・バッド」で“どんどん悪くなる男”ウォルター・ホワイトを演じたブライアン・クランストンが、このダルトン・トランボを演じているということ。ついに日本での公開が7月22日に決定しました!ということで、今日は映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」について紹介したいと思います。

■信念を持って活動し、誇りを持って働く という大事なことに気付く

アメリカがソ連との冷戦下にあった1947年。共産主義者を弾圧する“赤狩り”がハリウッドにも向けられます。ハリウッドで成功し、活躍していた脚本家のダルトン・トランボにもその矛先が向けられます。今では当時からだいぶ年月が経ち、客観的にスクリーンでこの歴史上のことを見る私たちにとっては、トランボの主張は、単純明快に「映画はみんなで作っている。一部の上層部だけで利益を独占するのではなく、制作に携わったスタッフみんなにもっと還元しようよ」ということだとわかるのですが、当時の自由主義を謳歌するハリウッドの渦中では、なかなか権力者たちからの理解が得られなかったのだと思います。いやー、本当にこういう弾圧ってあったんですね…。
またトランボは素晴らしい脚本家ですから、当然弁が立つ故に、どんどんそれが裏目に出て、権力者たちから追いやられ、やがて投獄されてしまいます。やがて刑期を終え戻ってきたトランボは、かつての友人の裏切り行為や、なおも続く誹謗中傷、さらには家族を養っていかなければというプレッシャーの中、ひたすらに脚本を書き続けていくのであります。B級映画だろうと何だろうと、例え自分の名前が世に出ることが無くても、そんなものは関係なく、とにかく映画の脚本を書き続けるのです。やがてそれが、彼の才能を再びハリウッドの第一線へと返り咲かせることになるのです。

TRUMBO

 

■他人の才能と成功に嫉妬する人と、惑わされずに自分の仕事をする人

さて、この映画の素晴らしいキャスティングは、当然主演のブライアンだけではありません。脇を固める俳優陣も素晴らしい演技をみせています。今回特に、大女優のヘレン・ミレンがヘッダ・ホッパーという面倒でイヤなババアを演じています。このヘッダ・ホッパーも実在の女優です。無声映画で成功した女優ホッパーは、トーキーでは華やかな成功をおさめることが出来ず、役がつかなくなり始めたときに、その知名度を注ぎ込んで映画界のコラムニストとして強大な力を獲得していきました。トランボにとっては大変な強敵となります。しかしトランボはこれらの他人からの批判に屈することなく、仕事を続けて行きます。ハリウッドのメジャースタジオから干されるならば、それ以外のところで脚本を書くのです。ジョン・グッドマン演じるB級映画会社を経営するフランク・キングもまた、実際にトランボと働いた人物です。彼らは政治や思想などに関心はなく、単純に、B級のギャング、ホラー、SF映画を、自分たちが儲けたいという、つまりは金のために大量に作り続けているこれまた筋の通った人たちだったので、トランボはじめハリウッドから追放された脚本家やクリエイターたちにとってはこれが助けになっていたと思われます。
そして、カーク・ダグラス(ディーン・オゴーマン、彼がまたカーク・ダグラスに良く似せている!)が名作「スパルタカス」でトランボをハリウッド大作の世界へと蘇らせていくことになります。

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「ローマの休日」「赤狩り」「ハリウッド」とさまざまなキーワードが重なる時代、映画の脚本を書くことに情熱を捧げた脚本家・ダルトン・トランボの姿を、ぜひ知ってほしいです。決して暗くない、キャリアも立場もある威厳ある年寄りたちが繰り広げる口論もコミカルでちょっと笑えたりするので、これから「何かを成し遂げたい!」「成長したい!」と思っている人には特に見てもらいたい映画です。

映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」は、7月22日(金)TOHOシネマズ シャンテ ほかにて全国ロードショー

作品情報:
監督:ジェイ・ローチ
脚本:ジョン・マクナマラ
原作:ブルース・クック(『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』世界文化社刊)
出演:ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、エル・ファニング、ヘレン・ミレン
原題:TRUMBO 2015 年/アメリカ映画/上映時間:124 分/字幕翻訳:李静華
Presented by スターチャンネル 配給:東北新社 
©2015 Trumbo Productions, LLC. ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:trumbo-movie.jp

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