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May 14, 2018
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HBO / ウエストワールド シーズン2 / ジョナサン・ノーラン / スターチャンネル / リサ・ジョイ
エンターテイメント
製作総指揮ジョナサン・ノーラン&リサ・ジョイが語る『ウエストワールド シーズン2』既にシーズン3に着手か?!
- May 14, 2018
世界的に話題を呼んでいるHBOの海外ドラマ『ウエストワールド シーズン2』。5月24日(木)よりスターチャンネルで日本最速独占放送されるが、この放送に先立ち、本作の製作総指揮/クリエイターを務めるジョナサン・ノーランとリサ・ジョイの最新インタビューが届いた。
©2018 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.
ーーSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)での素晴らしいシリーズ再起動、そして記者会見、新シリーズ発表おめでとうございます。いかがでしたか?
ジョナサン・ノーラン(以下:JN):今回がSXSW初参加だけど、この番組のフッテージ映像を初披露したのも、2016年オースティンでのATXフェスティバルだったんだ。あの時もとても興奮したよ。だから今回またこうしてオースティンに戻ってくることができて嬉しいね。
ーー記者会見でのコメントのひとつに、我々が予想できてしまうようなTVドラマを作る事には興味がないから、シーズンごとに世界をリセットさせる、というドラマの設計図をゼロから考案した、というのがありましたね。新シーズンではどのように前シーズンをリセットしたのでしょうか?
JN:チャプターごとに分けつつ、全体としての大きなストーリーを伝えていきながら、それぞれのチャプターも独自のアイデンティティを持つものにする、というアプローチに挑戦したんだ。恐らく各チャプターのジャンルもそれぞれに独自なものになるだろうね。問題はストーリーの伝え方だ。フォードっぽく言えば、キャラクター登場させるのにふさわしいタイミングを考慮したストーリーでなければならない。仮にシーズン1が人工知能とはどんなものか、というアイデアをじっくりと伝える心理的究明だったとしたら、シーズン2はある意味で残酷な革命を描くことになるだろう。今まで自由意思を奪われていたホストたちがそれを手に入れて自分自身で主導権を握って、自分のことを決められるようになった。そうしたら何をする? つまりシーズン2は、シーズン1とはテイストも情緒的なものも違ったものになるはずだ。恐らく僕らは毎年1シーズンずつ発表できないだろうから、まずは見慣れたTVドラマのパターンを踏襲することになると思う。つまり、シーズン1で提起した謎のほとんどに答えを出す。それからできれば新たに魅力的な謎と次のシーズンへとつなげるいくつかのキーとなる重要な謎を描きたいね。
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ーーたとえば?
JN:シーズン1で明かされなかった謎のひとつが、この世界を作り出したデロス社の本当の狙いだ。シリコンバレーの企業のように、彼らにも収益を獲得するための表向きのビジネスモデルと裏のビジネスモデルがある。パイロット版でデロス社にはこの世界の中で何かを目論んでいることが明らかになった。これがシーズン1からつながっているいくつかの謎のひとつで、シーズン2ではその目論見が明らかになる。その素晴らしいエピソードを演出したのが僕の妻であり、パートナーのリサ・ジョイなんだ。
ーーまるごと1話分の演出を手がけたのは今回が初めてでしたね。
リサ・ジョイ(以下、LJ):そうよ。とても楽しかったわ。
ーーこれほど複雑なドラマのメガホンを取るのはなかなかの大仕事だったと思います。撮影も一筋縄ではいかなかったと推察しますがいかがでしたか。
LJ:私にはいくつも有利な点があったわ。まずなによりもジョナサンとジーナ・アトウォーターが手がけた脚本が素晴らしかったこと。私はただ彼らが紙の上に書いたことに命を吹き込みたかっただけよ。このエピソードではエドとジェフリーや他のキャストと綿密に作業をしたわ。彼らの演じるキャラクターをさらに掘り下げて新たなレベルに昇華させるのはとても素晴らしい体験になった。彼らは本当に懐の深い役者たちで、繊細な才能の持ち主よ。これ以上は望めないほど最高の人たちだった。それに素晴らしいスタッフが手がけたこのクレイジーで美しい世界を舞台にすることができたわ。新たな場所も登場するし、演出するのがとにかく楽しかった。それにとてつもないアクションシーンもあるのよ。
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ーー昔から演出にはご興味があったのですか?
LJ:そうよ、ずっと演出にチャレンジしてみたかったの。脚本家としても私はビジュアルから入る視覚的思考タイプなの。自分があの世界にいることを想像するのが楽しかったわ。それにこのドラマはジョナサンがパイロット版と最終話を演出している。でもそれ以外の期間中も私たちは衣装からキャスティング、セットに至るまで細かいニュアンスにまでこだわって作り出していったの。ずっと関わっていたから、今回の演出自体もそれの延長のような感覚だったといえるわね。あと、準備の2か月前に出産もして…本当に色々とあった時期だったけど、伝えておくべき重要なことは、ジョナサンはいつもとても協力的で私を支え続けてくれたということよ。子供の世話とこのドラマの準備をしながら脚本も手がける私を助けてくれたの。本当に感謝しているわ。
ーーおふたりにとって、このドラマは女性の主人公が多く、女性演出家が揃っていることも重要なポイントですか?
JN:非常に重要だ。シーズン2には三人の実力派女性演出家が揃っているよ。
LJ:そう、女性の演出家、国際的な演出家が名を連ねていることはとても重要だったわ。でも演出家だけじゃなく、キャストやスタッフ、脚本家にも様々な人たちが揃っている。多様性こそが私たちの狙いなの。
JN:僕らはこの多様性の大事さをすでに脚本作業の段階で学んだんだ。あるひとりのひらめきを、多くの才能が力を合わせてTVドラマにしなくてはならない。ひとりで1年に600ページの脚本と10時間分の演出をするなんて不可能だからね。協力し合わないと実現しないんだ。
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ーーあなたの分身ロボットでもいない限りはひとりでやることなど無理ですね。
JN:そう、分身ロボットは今開発中だよ。でも残念なことにまだ正しく機能しないんだ、だからみんなでやる。脚本家たちが力を合わせるととてつもない利点を手に入れることができるんだよ。このドラマはそうやって生まれたんだ。このドラマのようなアンサンブルを執筆する時は、単に才能だけでは無理だ。異なるアイデアや様々な視点を幅広く俎上に載せることが不可欠なんだ。いつも一人の脚本家がひとりの登場人物を丸ごと担当するわけじゃない。それでは上手くいかないからね。上手くいくときというのは、幅広い視点を備えた大きなグループで作り上げる時だ。様々な意見に耳を傾けて皆がどんな風にあの世界を捉えているのかを感じることでさらなる深みがもたらされるし、アイデアも生まれるんだよ。なにしろ自分たちの存在する世界は本物ではないということに気づいたホストたちのストーリーを描くのだからね。彼らがいるのは本当の現実ではなく、思っていたものではなかった、ということを悟る姿は、明らかに人間の経験や言動、そして世界観に対するある種のメタファーになっている。だからこそ多様性と才能があるフィルムメーカーたちが沢山揃っていることが必要不可欠なんだ。世界は人々が思っていたのとは違う、というテーマをシーズン1で描いて以来、この15か月間は世界が最も狂気じみていたね。
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ーードラマに登場する女性ロボットたちは性的暴力を受ける被害者から目覚めて反乱軍を率いるようになりますね。まさに今の時勢にマッチしていますね。実はあなたたちは預言者なのでは?
JN:残念ながらこの世界がこれまでも、今でも完全に道徳的な場所でないことは預言者でなくともわかっていることだよ。
ーーしかし政治的な問題、例えば#MeTooといったムーブメントなどの影響を受けないでいることなどできるのでしょうか? 観る側としてはそうした問題に影響を受けずに観ることなどできないものですが。
LJ:私たちにはそれが可能だったわ。というのもシーズン2の脚本の執筆をしたのは、あの一連の出来事が起こる前だったから。というか、ちょうど執筆している間に大統領選はあったけれど、それ以外は時期が違っていたわ。それに大統領選にもあの結果自体にも驚きはなかったけどね。あの一連のムーブメントの前から、私たちはすでにそうしたことがあるのを知っていた。最近になって広く話題になっただけで、今に始まったことじゃないわ。ただ大勢の人々がこれらの問題を語り出したのが今だっただけよ。恐らく時には内輪だけで語られたり、時にはタブーだったりしたのでしょう。でもいつの時代も芸術や文学、フィクションというのは人々がまだ声をあげないけれど、そこにある真実、時には醜い真実を表現するための方法なのよ。人間の本性を考察するという点では私たちがしていることも同じよ。醜さを認めないで本当の人間の本質は伝えられないわ。だから不公平さや虐待が存在するの。何か正確に理解するためにはきちんとした評価をしなくてはならない。私たちは過去にも、これからもその姿勢を続けていくわ。
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JN:その通りだ。ドロレスがよく口にする言葉に『暴力を愉しめば暴力的な終わり方をする』というのがある。これは僕らの言葉じゃなくてシェイクスピアのものだ。カルチャーはある一面だけを見せるけれど、その奥底には人間の複雑さや醜さが隠されているという僕らのストーリーのアイデアは別段目新しいものではないのさ。このようにSFを描くうえでの利点のひとつは、この世界のことは適切な角度から捉えてさえいれば、少し描くだけでも伝わるということだ。むごい現実をいちいち細かく正確に描く必要なない。とはいえ、人間の本性やそうして我々はこんなに壊れてしまったのか、というテーマはちゃんと描いているけれどね。
LJ:シーズン2の興味深い見どころのひとつは、登場人物のだれもが、新たなテクノロジーに対して、もしこれらのテクノロジーがハッキングされたらどうなるのか、と大きな恐れを抱いている点よ。そこで私の頭に浮かんだのはもっと差し迫った恐怖で、もしこれらのテクノロジーが人間をハッキングしたらというアイデアだったわ。なにしろ人間をハッキングするのってとても簡単なことに思えるからよ。思うほど複雑じゃないような気がするの。近年のメディア、変遷するメディア、とりわけソーシャルメディアの世界を観ているとね。『ウエストワールド』には綿密に計画された偽の現実、偽の過去に生きるホストたちが登場する。彼らは嘘を信じるように教えられている。現実世界に置き換えてみれば、ロシアに干渉されたフェイスブックのフィードさえあれば、人間の性としていとも簡単に嘘を信じてしまうということだわ。私たちは自分たちで思うよりもずっと、テクノロジーを通じた操作を受けやすいということね。
JN:特にアメリカでは技術革新を推進する一方で、止まることをしない。しかもそれを信頼している。規制も止まることも好まないんだ。同じことをオースティンでも言ったけれど、もしAIの発展をソーシャルメディアの発展と同程度にしか考えていないとすれば、僕らは終わりだ。このドラマの中でも、シーズン1でフォードがアーノルドに起こったことを憂慮しているというメタファーとして描かれている。ナルキッソスの神話にも少し似ていて、フォードはアーノルドが自分で生み出したドロレスに恋してしまったんだ。我々も様々なテクノロジーを開発してきた。本気で言っているんだよ、僕らはそれらを創造した。そして非常に優秀で善意の人々が何人もそうした会社で働いているが、彼らは予算も実績もある世間的に良く知られた名のあるシステムの保護のもとで働いているに過ぎない。彼らはエコーの湖の深い穴にどっぷりとはまってしまった子供たちのことなど立ち止まって考えたりはしない。インターネットといえば、ウィキペディアや未来技術を連想しただろう。最初は世界中に真実が拡散されると感動したはずだ。ところが、そのうちに誰もが自分に都合の良い真実にアクセスするようになった、だろう?そしてこんなものは真実でも何でなく、害をもたらすだけのクソだと気づくんだ。
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ーーこのドラマの設計図があるとのことでしたが、その設計図はどれほど先まで広がっているのでしょう?
LJ:現在、ポストプロダクション中よ。でも間もなくシーズン3に着手するわ。夫婦だから、もう夕食を挟んでお互いをじっと見つめ合うより、子供の話を一通りしたら、お天気の話を長々としてもいいけど、それよりも常にAIのことを話しているわ。
JN:大半のことはパイロット版を作った時に色々と話して詰めたんだ。その時に設計図の必要性を感じて、大体はそれに沿っているよ。TVドラマの良い点のひとつは、役者が期待に応えてくれたり、優秀なデザイナーや脚本家たちが素晴らしいアイデアを提案してくれることだ。そうすることで少し回り道をしたり時間をかけてキャラクターやシーンと向き合う機会になるんだ。とはいえ、到達するべき目的地に変更はないけれどね。
ーーすでに目的地、最終目的地の構想は出来上がっているのですか?
JN:ああ。出来上がっていないといけないと考えているよ。
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シーズン2では、日本の江戸時代を表現した「将軍ワールド」が用意され、真田広之ほか多数の日本人俳優の出演も発表されており、超大作ドラマのなかで日本的な世界観がどのように描かれるのか非常に楽しみだ。インタビューでは早くも続編となる「シーズン3」に向けた意欲的なコメントも飛び出し、今後の展開からますます目が離せなくなりそう。
『ウエストワールド シーズン2』はスターチャンネルにて5月24日(木)より放送スタート。
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